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『楽しみな、ミュージカル劇団の見本市』
総合演出 ハマナカトオル
普段、横のつながりがないミュージカル劇団が集まって、一緒にステージをつくる初めての画期的な公演『That's Musical ! 』が、今年8月、銀座博品館劇場で行われることになりました。この公演は、ミュージカル評論家で月刊「ミュージカル」編集長の瀬川昌久さんが、ミュージカル劇団に呼びかけてくれて実現したもので、3つの劇団が、それぞれ独自の持ち味を発揮した45分ずつの作品を披露する舞台です。全体では、3話のオムニバス・ミュージカルと言ってもいい、楽しみな公演です。
第1部はザ・ライフ・カムパニイの「マンハッタン・プリンセス」、第2部はミュージカル座の「三人の花嫁」、第3部は劇団スイセイ・ミュージカルのミュージカル・ショウ「贈り物」となっており、各劇団の特色を存分にいかしたバラエティ豊かな内容となっています。各作品の演出と出演は劇団単位で行い、私が総合演出として、3劇団合同で演じるオープニングとフィナーレの演出、演目の順番決定、舞台装置の調整などをつとめさせていただきます。
一度に3つのミュージカル劇団が見られる舞台というのは、今までに例がないと思いますので、私たちもワクワクしています。各劇団のセンスや個性、実力、あるいはミュージカルに対する取り組み方などが、一目瞭然で比較出来るわけですから、ミュージカル・ファンにとっても、新鮮な発見の出来る舞台になると思いますし、つくる側も互いに競争心を刺激されますので、きっと力のはいったいい舞台に仕上がることと確信しています。また、劇場には3劇団のお客様が集まりますので、普段、劇団の単独公演では見ていただけない多くのお客様に、初めて劇団を知っていただくチャンスも生まれます。瀬川さんが声をかけてくれなかったら、実現しなかった企画かもしれませんが、とても楽しい企画ですので、ミュージカル座に声をかけてくださったことに感謝しています。
第2部としてミュージカル座がお贈りする「三人の花嫁」は、1995年に、ミュージカル座第1回アトリエ公演として上演した作品です。チラシに「ミュージカル座」と名前のついた初めての公演が、実はこの作品でした。ウェディング・ドレスを着た三人の出演者によるオフ・ブロードウェイ・タッチのミュージカル・コメディですが、私の大好きな作品でもあります。観劇した音楽評論家から、「いつも東京でこのようなミュージカルが上演されているといいなあ。」と言われたことがあり、私も上演を待ち望んでいました。出演する鈴木智香子は、95年の第1回公演にも出演していますので、9年ぶり2度目。片桐和美と村上由香は、初めてこの作品に出演します。
この企画の話をいただいた時に、思い出したことがあります。私は、93年から舞台芸術学院ミュージカル部で教えてきましたが、当時からの悩みは、ミュージカル部を卒業した生徒たちの進路の選択肢が、あまりに少ないということでした。演劇部の生徒たちは、卒業すると数多い劇団の中から、自分の好みに合った劇団を探すことが出来ます。また、自分たちで劇団を旗揚げする例も多く見られます。ところがミュージカル部の生徒は、選択肢が少なく、難関のオーディションに不合格となると、大多数が何年もレッスンだけの生活となり、ついにはミュージカルの道に進むことをあきらめてしまいます。また、ミュージカルは莫大なお金がかかると思っているからでしょう。卒業して自分たちでミュージカル劇団を旗揚げする例も、ほとんど見られません。
私は、教師として、卒業して行く生徒が、せめて10ぐらいのミュージカル劇団の中から、自分の個性と好みに合った劇団を選択して進んで行けたらいいのに、と思っていました。また、一つの劇団で失敗しても、同じような規模のミュージカル劇団がほかにもあれば、違う劇団で再挑戦することも出来ます。そのためには、日本のミュージカル劇団がもっと増えて、それぞれ活発に活動し、豊かな芸術活動に邁進出来るような環境が整えられていることが必要です。私に出来るかどうかはわからなかったのですが、そうした選択肢の一つになれば、という思いで立ち上げたのが、ミュージカル座でした。
今回のミュージカル3劇団ジョイントフェスティバルは、『ミュージカル劇団の見本市』として、日本のミュージカル劇団にはこんな劇団があるんだと、多くの方に知っていただく、とてもいい機会です。そして、ミュージカル劇団が互いに知恵を出し合い、協力し合って、日本のミュージカルを発展させ、よりよい環境をつくるため、こうした試みに挑戦することを嬉しく思います。さらに多くのミュージカル劇団に参加していただき、毎年恒例のフェスティバルに発展することを願っています。
月刊「ミュージカル」7月号に、関連特集記事掲載。
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