200万部のベストセラー、“現代の古典”と呼ばれる「きけ わだつみのこえ」を、この度「日本戦没学生記念会(わだつみ会)」の同意を得て、日本初のミュージカルとして創作、初演いたします。「ひめゆり」「スウィングボーイズ」で、太平洋戦争の悲劇を描き出した山口e也とハマナカトオルのコンビが、今の日本へ、万感の思いを込めて贈る最新作です。どうぞご期待ください!
※開場は開演30分前です。※残席ある場合は、当日券を公演開演の1時間前より販売いたします。ご観劇当日のご予約は承っておりません。当日券をご利用ください。※本公演は、一部ダブルキャストで上演いたします。上記キャスト・スケジュールをご確認ください。出演者並びに出演スケジュールに変更がありました場合は、何卒悪しからずご了承ください。出演者変更の場合でも、他日への変更、払い戻しはいたしかねます。※未就学児のご入場はできません。
名著「きけ わだつみのこえ(岩波文庫)」は、私も20年近く前に「ひめゆり」の男性役のセリフ(歌詞)を書くために参考文献として読んでいましたが、久しぶりに再読し、改めて強く印象に残ったのは、沖縄の素朴な女子高生だったひめゆり学徒と比べ、「わだつみ〜」は東大や京大、早稲田や慶応などのエリート学生が書いた手記であり、戦争や時代、日本という国のあり方、人生や未来などについて、断然深く考え、語っていることでした。今の学生より真剣で、勉強熱心とも思えるかつての大学生の言葉に感銘を受け、彼らの言葉を劇場作品にして、観客に伝えたいと思うようになりました。
昨年10月、私は岩波文庫に電話をかけ、日本戦没学生記念会(わだつみ会)を紹介していただき、本郷の東大赤門前にある「わだつみのこえ記念館」を訪れて、ミュージカル化したい趣旨をお伝えしました。11月1日に、記念館館長の高橋武智氏より「ミュージカル化に同意する」とのご返答をいただき、製作をスタートさせました。
「きけ わだつみのこえ」は、これまで1950年と1995年の二度、映画化されています。私は両方見ましたが、二つの映画は、全く別の作品と言っていいほど違っています。原作は、学徒たちの手紙や日記などの遺稿集なので、全体を貫くストーリーはありません。そこで、お芝居にしようとすると、脚本家がストーリーをつくらざるをえません。しかし、私は原作にないストーリーをあえて脚色するより、出来るだけ原作の読書感覚に近いまま、舞台化したいと考えていました。またそうした方が、ミュージカルという表現形態を生かせると思っていました。この作品は、「屋根の上のヴァイオリン弾き」でつくるより、「キャッツ」や「コーラスライン」でつくるべき作品だと直観していました。
全国公演も可能なコンパクトな作品として設計したかったので、当初私は、男性7人のみの出演舞台を考えていましたが、私の考えを聞いた劇団員の竹本敏彰が、その考えに反対し、女性を1人入れるべきだと主張しました。私も、やっぱり「ウルトラセブン」にはアンヌ隊員が必要かと考えを改め、女性の役を1人入れて構成し、脚本を書いて行くことにしました。
脚本は、私は普通最初から歌詞やセリフをどんどん書いて行くのですが、今回はそういうわけには行きませんでした。新版第一集と第二集の二冊、合わせて900ページにもなる原作を整理するところから始め、まず最初に舞台に使える可能性がある部分を抜粋して朗読劇のようなものを書き、それをもとに流れと順番を決めた構成台本を書き、2時間のショーとして形を整えた後で、最後に場面ごとの曲調を決めて歌詞を書くという3段階の行程を経て書き上げました。3月11日、脚本執筆中に東日本大震災が起こり、原作の言葉たちが今までと全く違った意味で読めるようになったのは、運命を感じるほどの大きな衝撃でした。
全編ほぼ歌で綴るミュージカルを7人だけで演じるため、キャスティングは歌唱力第一です。ビリー(山口e也)さんの歌唱指導に耐えられる、全員完璧なソロが歌えるキャストを選ばなければなりません。脚本を書きながら、役のイメージがピンと来たところで、一人ずつ決めて行きました。たとえば一幕後半に「一郎」という中国人孤児が登場するのですが、女性キャストは、この役が演じられる、少年にも見える小柄な女性でなくてはならず、なおかつバラードが歌える歌唱力が必要だと分かった瞬間に、浦壁多恵ちゃんに電話をかけていました。今回出演してくれる12人の実力キャストが、たまたまこの時期、からだが空いていたことはラッキーでした。「きけ わだつみのこえ」をミュージカル化する挑戦に賛同し、参加してくれたことに感謝しています。
7人で演じられるオフ・ブロードウェイ風の小さな作品ですが、内容は、いろんな意味でとてつもなく大きなものを含んでいる作品だと、稽古をしながら感じています。キャストたちによって歌われるわだつみのこえを聞きながら、舞台は、この世とあの世を結ぶ架け橋なんだなと、いつもより強く感じる夏となりました。
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ミュージカル「わだつみのこえ」の稽古場から、稽古の様子やキャストの皆様の声や表情をお伝えする稽古場だよりです。
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 顔合わせ風景 |
7月15日。顔合わせが行われました。作・演出のハマナカトオルが、この作品を書くに至った経緯を説明し、この作品を「ミュージカルの古典」として、長く上演して行きたいと語りました。
集まったキャストは、いずれも実力者揃い。一人ずつ、この新作に出演する抱負をたっぷり語りました。戦争を語り継ぐ使命感と、いい作品にしたいという思いにあふれた顔合わせでした。
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キャストの挨拶に続いて、すぐに台本の読み合わせと歌稽古が始まりました。この作品は、常に音楽が流れるように書かれていて、山口e也が作曲したミュージカル・ナンバーはなんと39曲。それを7人のキャストで歌い、セリフを交わして行きます。一人一人の覚える分量は多く、これからしばらくの間は、譜面を読み、歌とセリフを覚える稽古が続きます。
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 阿部よしつぐ |
この作品の7人の登場人物は、大学の読書クラブのメンバーたちという設定です。クラブのリーダー役を演じるのが、阿部よしつぐさん。今年、「レ・ミゼラブル」のアンジョルラス役で帝劇の舞台に立ち、話題になったばかり。「レ・ミゼ」後最初の東京公演が、この「わだつみのこえ」ということで、気合いも十分です。
「このミュージカルが、日本のミュージカルの代表作になると信じて、自分もこの作品に関わる喜びを噛みしめ、言葉のひとつひとつを大切につむいで行きたいと思います。」
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 tekkan |
「レ・ミゼラブル」クールフェラック役、「ミス・サイゴン」トゥイ役など、さまざまなミュージカルの舞台で活躍する実力者tekkanさん。ミュージカル座の舞台に出演するのは、1998年の「ひめゆり」(世田谷パブリックシアター)以来、13年ぶりです。
「自分が東京に出て来て、初めての舞台がミュージカル座の「ひめゆり」だったので、久しぶりのビリーさんの楽曲に触れて、初心に帰ったような気持ちです。今までそんなに深く日本の戦争について考えることがなかったので、このタイミングでこの作品に出演することが決まり、今、そういう時期なのかなと思ってますね。」
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 浦壁多恵 |
昨年(2010年)7月の「ひめゆり」で、“小鳥の歌”を歌い、素晴らしい歌唱力を聞かせた浦壁多恵さん。「レ・ミゼラブル」、劇団四季「春のめざめ」、「ファントム」などの舞台で活躍。ミュージカル座「ルルドの奇跡」では主演ベルナデット役を演じています。ビリー&ハマナカ作品の信頼厚い常連の一人。
「なんだかとても、新しいミュージカルになる気がしています。ほんとにそんな気がするんです。昔の話なんだけど、見たことないような最新の感じのミュージカルになると思う。7人しかいないので、一人一人がしっかりと責任を持ってやります。」
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連日の歌稽古が続いています。7人で「ひめゆり」を演じるのとほとんど変わらない楽曲の多さ。ソロ曲も複雑なコーラスも多く、キャスト全員に主役級の役割が求められます。それぞれのキャストが、楽曲のイメージと共に強烈に印象に残るように書かれてあります。少人数で演じるミュージカルの醍醐味と言えそうですね。それにしても、ビリー先生、歌、難しいです!
作曲・編曲・音楽監督:山口e也「この作品は全員が完璧に歌える人でないと、かたちにならないように書きました。演技力、歌唱力ともに全員均等の力が必要で、それによって一つの時代をあらわすことができる作品です。7人全員が完璧に歌えたら、すごいミュージカルになります。」 |
 麻田キョウヤ |
6月の「ロイヤルホストクラブ」に続いてミュージカル座に連続出演の麻田キョウヤさん。「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「ファントム」「蜘蛛女のキス」などの舞台で活躍。12月には「ダンス・オブ・ヴァンパイア」で帝劇の舞台に立ちます。愛用のi Pod touchのピアノソフトを使い、膨大な楽譜に取り組んでいます。
「とにかく曲が難しいですし、一人一人の役割も大きいので、必死で音を叩き込んでいます。結果、耳から血が出そうです。この作品に出てくる人物も、言葉も、すべて実際のものということで、すごく重みを感じています。一言一言、大事に伝えて行きたいです。」
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 中本吉成 |
必死の歌稽古中にも、ジョーク連発で場をなごましてくれる中本吉成さん。彼もまた「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「ジーザス・クライスト・スーパースター」など歌のミュージカルは経験豊富です。広島出身の彼は、今回、原爆で死んだ学生が書き残した実際の遺言を一曲の歌にしたナンバーを歌います。乞うご期待ですよ!
「今回、ミュージカル座には珍しく男性が多い作品なので、稽古場がすごく新鮮です。僕は広島に生まれて、子供の頃から原爆や戦争について触れる機会が多かったので、今回僕にとって、とても意義のある舞台になりそうです。ぜひこの公演を、広島でやりたいですね。」
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約一週間かかった歌稽古期間が終り、稽古はステージングにはいりました。演出・振付のハマナカトオルが、わだつみの世界を立体的につくって行きます。現代の大学生である7人の登場人物が、読書会で初めて「きけ わだつみのこえ」を読み、太平洋戦争当時の大学生の言葉を朗読しているうちに、気持ちがひとつになって、その世界にはいって行くストーリーを、観客の想像力を最大限高めるように、ミュージカルの表現方法を駆使して、繊細に描いて行きます。初めての場面をつくる時は、キャストたちも、「あっ、そういうことだったのか。」と発見の連続です。演出家のプランを体験しながら、その場面をどのように演じて行くか、キャストたちの闘いが始まったようでした。
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 高野絹也 |
「レ・ミゼラブル」「ベガーズ・オペラ」など多くのミュージカルの舞台で活躍する高野絹也さん。ミュージカル座への出演は、9・11とアフガン戦争を描いた「ニューヨーカーズ」に始まり、戦争の悲劇を描いた「スウィングボーイズ」や「ひめゆり」などに出演しています。
「争いごとが嫌いで、戦争は決して起してはいけないと思っている人間ですが、ミュージカル座に呼んでいただく時は、なぜかテロだ戦争だという争いごとに関わる作品が多く、きっとこれにも意味があるんだなと思いながら、稽古に参加しています。仕掛けというほどの大きな規模ではないですが、実は、新しい試みがたくさん散りばめられた作品ですので、是非ご覧下さい。」
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ハマナカトオル:談「ケンケンさん(高野さんの愛称)のような、知的で善良で繊細な俳優を、戦場に置いてみたくなるんだよね。」
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 佐野信輔 |
ミュージカル「わだつみのこえ」は、この人佐野信輔さんとハマナカトオルの会話の中から生まれました。戦争を語り継ぐ使命感を持ち続ける舞台人の一人。毎年夏に「815〜Generation to generation〜今日、君に話したいこと。」という戦争を語るステージをつくり続けています。ヴェトナム戦争を描いた「ミス・サイゴン」では、アメリカ軍のシュルツ大尉役を演じました。
「戦争を体験された方がご高齢になっている今の時代、表現をなりわいにしている僕ら俳優が、体験者の方に代わって表現することで、教科書や資料館とは違った、体験者の方の語りに近いニュアンスの伝え方が出来るのではないかと思っています。こういう形の作品に携われて本望です。」
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ハマナカトオルは、当初この作品を、全員男性キャストで書こうと考えていました。原作の「きけ わだつみのこえ」が、すべて男性が書いた文章で出来ているからです。しかし、文章の中には、妻や恋人、妹、母親、看護婦など、多くの女性が登場します。劇中に登場する女性の役を、すべて一人で演じなければならないのが、この作品の女性キャストです。何度か衣裳を替えて登場しますので、その変化もお楽しみ下さい。
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 菊地まさはる |
ミュージカル「レ・ミゼラブル」コンブフェール役、「ミス・サイゴン」ソルジャー1役や、ミュージカル座の様々な舞台で重要な役を演じ続けている菊地まさはるさん。コメディからシリアスな役どころまで、その演技力は広く知られるところ。ヴォイストレーナーやコーチング・ディレクターとしても活躍しています。今回の作品では、かつての日本兵が大陸や南方で行った行動を描いた、難しい役どころが回って来ました。
「一人一人が、確実に責任を持って演じなければならない作品ですので、その緊張と、わだつみの背景にある緊迫した世界とを融合させて、よい作品になるよう、自分自身を見つめて演じ切りたいと思います。」
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 青木結矢 |
2003年の「レ・ミゼラブル」プルベール役で初舞台というラッキー・ボーイ。その後「ミス・サイゴン」などの大型ミュージカルに出演(当時の名前は水越友紀)。昨年改名し、新たなキャリアを歩もうとしています。ミュージカル座には2009年の「ロザリー」ルイ16世役で初登場。作・演出のハマナカトオルが、その演技力と存在感を高く評価し、期待している俳優の一人です。
「少人数のミュージカルは初めてなので、結構楽しいです。自分を含め、これからの日本をつくる若者たちに、多く観劇していただきたいと思います。当時の学生たちの生の声を、平和ボケした僕らが表現出来るかどうか、不安と責任感でいっぱいです。
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ステージングが続きます。今日の稽古は、太平洋戦争当時の学生たちが、軍隊に入営し、すさまじい訓練としごきの毎日にさらされる場面。日常的に鉄拳制裁が行われていた地獄の軍隊生活を描いたミュージカル・ナンバーを演じる6人の男性キャスト。体力的にも精神的にも演じるのは辛い場面です。それまで学問に身を捧げて来たインテリ学生たちが、暴力的で理不尽な世界に投げ込まれた時の心の叫びが、悲痛な歌となって表現されます。
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 森 雄基 |
ミュージカル座の舞台に、昨年の「ひめゆり」で初参加して以来、「トラブルショー」「ロイヤルホストクラブ」「わだつみのこえ」と、連続参加している森雄基さん。歌うことが好きで、中学・高校と合唱部に所属。大学の時に2000回記念の「レ・ミゼラブル」を観劇して胸打たれ、この道を目指しました。稽古場で彼の歌唱力に注目したハマナカトオルが今回の作品に抜擢。早稲田大学第一文学部卒業の彼は、この作品で、太平洋戦争当時の早稲田大学の学生も演じます。
「とっても実力派の先輩方に囲まれて、ゾッとしています。「わだつみ」の時代の人は、武士道精神じゃないですけど、どう死ぬか、ということに重きを置いていたイメージがあったんですが、今回原作を読んで、今の僕らと同じように、どう生きるか、ということを強く思っていたことを知り、強いシンパシーを感じました。」
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 丹宗立峰 |
「レ・ミゼラブル」バベ役、音楽座「マドモアゼル・モーツァルト」フランツ役、ディズニー映画「プリンセスと魔法のキス」ナヴィーン王子役の吹き替えなど、美声を活かしてミュージカルの舞台で活躍する丹宗立峰さん。「陽なた」代表として、日常的なテーマを題材にしたあたたかい舞台作品づくりを進め、演出家としても活躍。多彩な活動が注目される実力者です。
「「わだつみのこえ」の原作を読んだ時に、当時の人の思いや考えがいっぱい詰まっていて、その人たちの色々な気持ちを伝えることが出来たら、きっと凄い作品になるだろうと思って、自分もその考えを受け入れ、見つめることが出来たら、自分にとってもいい経験になると思い、この作品に参加しました。」
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熾烈な中国の戦線に送られた学徒たち。日本軍は必死の攻防の末、中国の街を制圧しますが、中国人の民衆に対し残虐な行為も行いました。その時の様子が、原作「
きけ わだつみのこえ」には生々しく語られています。原作に登場するも、2度の映画化では描かれなかった「一郎」と日本兵に呼ばれていた中国人孤児(女の子)が、このミュージカルでは取り上げられています。
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 田宮華苗 |
ミュージカル座公演「サイト」主演ひきこもりっこ役、「ひめゆり」みさ役、「ロザリー」ジャンヌ役、「舞台に立ちたい」いづみ役など、最近のビリー&ハマナカ作品には必ず重要な役で出演し、実績を重ねている田宮華苗さん。One
on
One公演(作・演出/浅井さやか)の常連キャストとしてもお馴染みです。「わだつみのこえ」には、昭和の日本女性が似合うキャラクターとして、いち早く声がかかっていました。
「稽古が始まって半月がたちますが、やる気がみなぎる稽古場で、毎日刺激を受けています。みなさん大先輩で、助けていただいていますが、みんな少年みたいな一面もあって、はしゃいでいる時は可愛いらしくて仕方ないです。その可愛さを分けてほしいと思うくらいです。ハマナカ先生とビリー先生の久々の新作ということで、とても楽しみにしていましたが、台本と楽譜をもらって、量の多さと難しさに驚きました。とてもやりがいのある作品です。」
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「わだつみのこえ」の稽古は、すでに第二幕に進んでいます。大合唱⇒芝居⇒ダンス・ナンバー⇒ソロ曲と、1秒もたわむことなくショー構成された場面の連続を、7人のキャストが7色の個性で演じて行きます。この作品を演じるキャストたちが、いかに大変な内容をこなさなければならないかが、実感として徐々に分かって来ました。楽譜の内容も、作詞家と作曲家の間で毎日のように改善が進み、つくり直された歌詞や音楽が稽古場で新たに生まれて行きます。
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8月12日、キャストたちは、役づくりを深める勉強をかねて、作品に関係する太平洋戦争の資料を展示した施設と記念碑を巡りました。
最初に訪れたのは、もちろん「わだつみのこえ記念館」です。文京区本郷の東大赤門前にあるこの施設は、原作「きけ
わだつみのこえ」に登場する学徒の実物の手記や写真、遺品などを展示しています。館長の高橋武智さんの解説を聞きながら、真剣な表情で展示物を見つめるキャストたち。自分が演じる役が書き残した実物の日記などを、じっくりと観察しました。
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佐野信輔
「展示されたその文字を見て、彼らとの距離感が一気に縮まりました。自分や、自分の学生時代と変わらない字体がそこにはありました。それはまさしく学生の筆跡、心当たりのある、筆跡でした。」
丹宗立峰
「妻への手紙を書いた篠崎二郎さん。「わだつみのこえ」のなかで一番好きな方です。舞台では僕がこの方の手紙を歌いますが、この記念館には手記と写真があり、見つけるとなんだか自分のことのように嬉しかったです。」
高野絹也
「直筆の資料は、たとえ愛を語る内容のものでさえ、一文字一文字の裏に死と隣り合わせの緊迫感を感じ、胸がえぐられる思いでした。」
田宮華苗
「一番印象的だったのは、死亡通知書。この一枚の紙を、遺族の方々はどんな気持ちで受け取ったのだろう。そう思ったら、その前をしばらく離れられませんでした。」
浦壁多恵
「軍隊での辛い生活や、特攻前にもかかわらず、「安心してください。」という言葉を多くの学生が書いているのに胸が苦しくなりました。また、母や妻への手紙で見せる本心は、とてもせつなかったです。」
森 雄基
「館長さんの目がきらきらとしていたのが印象的でした。戦没者だけでなく、こういった方々のためにも、この作品に真摯に取り組んでいかねば、と思いました。」
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続いて訪れたのは、「わだつみのこえ記念館」のそば、東大正門前にある「東京大学戦没同窓生之碑」です(写真左)。ミュージカル「わだつみのこえ」には、東大・京大・早稲田・慶応などの学生が登場し、出身校を名乗る場面があります。本郷通りにひっそりとただずむこうした記念碑は、うっかりすると気づかず見過ごしてしまいそうです。キャストたちも、全員初めて知りました。その後は、靖国神社へ。炎天下、境内を歩くキャストたち(写真右)。ここでも、戦争に関する多くの資料を見学することができます。中本吉成と田宮華苗は、生まれて初めての靖国神社でした。
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靖国神社の境内にある「母の像」の前に立つ二人の女性キャスト(写真左)。この像は、夫を戦争で失いながらも子供を育て上げた戦争未亡人の像。ミュージカルのなかでも、夫を失い未亡人になる妻の姿が描かれています。ほとんどの夫婦が、新婚間もない若いうちに愛する夫を戦争に奪われ、失ったのでした。太平洋戦争に関する多くの資料を見学できる「遊就館」の前で(写真右)。実物の零式艦上戦闘機(ゼロ戦)や人間魚雷「回天」なども展示してあります。(※館内は写真撮影禁止)。さすがに皆俳優なので、演技に必要な兵隊の持ち道具などにも興味津々の様子でした。
高野絹也
「夏休みだからなのか、8月15日が近いからなのか、閲覧者の多さに驚きました。あくまで、戦争という大きな渦に巻き込まれた一市民の犠牲者だった若者の声、というスタンスの「わだつみのこえ記念館」に対して、国を護るために散った美しい魂を追悼する、というスタンスの靖国神社。見方は違っても、心に訴えてくる亡くなった命の声は、同じに思えました。」
麻田キョウヤ
「靖国神社の遊就館は、その巨大な施設、膨大な資料に圧倒されました。展示してある人間魚雷にしろ、特攻モーターボートにしろ、特攻潜水服にしろ、戦況が切迫していたとはいえ誰が兵士を殺したのか?と思ってしまう。」
中本吉成
「当時の学生と、今の僕ら。何が違うのか。ほんの何十年か前の話なんだということを実感した見学でした。」
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「千鳥が淵戦没者墓苑」をお参りするキャスト。ここは、太平洋戦争で海外で亡くなった戦没者の遺骨を納めた「無名戦没者の墓」です。300万人を超える犠牲者を出した太平洋戦争。二度と繰り返してはいけない悲劇を知ること、そして後世に語り伝えること。俳優である今の自分にできること。身の引き締まる思いで作品に取り組む気持ちを新たにした一日でした。
高野絹也
「靖国とは打って変わって、広い敷地に人もまばら。車椅子のご老人と、付き添いの奥様、車椅子を押すお孫さんが、静かに献花されていたのが印象的でした。猛暑の中の強行軍でしたが、改めてこの舞台に向き合う心構えや、新しいアイデアをいただけた一日となりました。」
浦壁多恵
「どんな状況の中でも、逃げることなく戦わなければいけなかった彼ら。彼らが愛した女性たちを、私は、凛とした姿勢を崩さない強さ、包み込む優しさ、そしておおらかな明るさを持って演じたいと思います。」
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作曲・音楽監督/山口e也による歌稽古です。キャストたちが作曲家に歌を披露する緊張の日。そして、作曲家から曲に対する考えをじっくり聞くことが出来る大事な時間です。同時に、譜面上の疑問点の解決や、微妙な修正も行われます。作詞・演出のハマナカトオルも加わり、稽古で生じた音楽のチェック・ポイントを全て洗い出して行きます。1小節単位の増減や、これまで歌詞がなかった場所に、その場で書き直された歌詞が加わるなど、新作ならではの調整が行われました。さすがに歌達者揃いの「わだつみのこえ」キャストなので、作曲家の高度な要求や、メロディーとコーラスの突然の変更、追加にも、即座に対応して歌うことが出来ます。その見事さは、この稽古を皆様にお見せしたいと思うほど。改めて、素晴らしいプロの集団だと感じた稽古でした。
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「作曲家に聞く」
作曲・編曲・音楽監督/山口e也
◆「わだつみのこえ」のミュージカル化の話を最初に聞いた時のご感想は?
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山口
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「今までの経験から、すぐにこれはミュージカルになるぞと直感しましたね。日本人が日本人に訴えかけられる題材、必ず日本人に観てもらえる題材、観なければいけない、知らなければいけない題材として、手紙や手記といった平面的なものを、音楽の力によって立体化することが出来れば、意味のあることになると思いました。」
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◆作曲に当たって、心がけたことはなんですか?
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山口
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「戦争を題材とした作品であっても、悲劇性を強調しすぎたり、しんみりした曲ばかりでは、ミュージカルとしての意義はなくなると考えました。あえて、そうした曲にとらわれずに、キャストの中から、激動の時代のエネルギーを引き出すような、パワーに溢れた曲を組み込んで行きました。戦争の悲しみや怒り、心の中の叫びを、外に発散する形で表現したいと思っています。作品としては一つのテーマであっても、曲想はバラエティに富んだものになりました。」
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◆では、演じるキャストにも外に発散するような演技を求めるということですね。
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山口
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「当然、役者の力量に期待する部分は大きいです。皆さんの演技力と歌唱力に期待しています。」
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◆作曲する時に、どのように音楽をイメージするのですか?
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山口
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「いつも同じですが、台本を最初に読んだスタート時点で作品の色が浮かんで来ます。その色にそって作曲を進めます。台本がいかに大事かということです。そういう意味では、今回は作業としてはスムーズでした。メロディーづくりが先行して、内容が後から決まってくるような例もありますが、今回のような作品ではありえない事です。台本に書かれた言葉でイメージを膨らませて、最後まで書き上げました。」
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◆新しいミュージカルを製作する時に望まれていることはなんですか?
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山口
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「ミュージカルのあり方、多様性、ミュージカルが扱う範囲が、おそろしく広がって来ていて、逆に何がミュージカルなのかと疑問を持つほどです。忘れてはならない一番の本質は、歌詞と、メロディーと、演技をする役者全員が、ひとつの目標を持って、同じものに向かって突き進んでいる姿をたがいに確認することが、ミュージカルであると信じていますね。」
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◆最後に、完成したミュージカル「わだつみのこえ」に期待されることは?
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山口
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「戦争など、実際に起こった史実を描いた舞台作品は他にも多くありますが、作品全体を音楽で描いたミュージカルとして演じることによって、ストーリーにプラスアルファされたイメージがその理解を深めると信じています。この題材を真実として伝えるために、音楽の力が手助けになることが出来れば、目標達成ですね。」
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〔2011年8月19日:ミュージカル座稽古場にて/インタビュー:制作〕
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「わだつみのこえ」の稽古も佳境にはいってきました。すでに全シーンのステージングも終わり、固めと仕上げの段階に進んでいます。本番の舞台で使用する小道具も稽古場に運ばれ、これからは毎日使えます。左の写真は、小道具を身につけて『ほふく前進』を行うキャストたち(中央:麻田キョウヤ)。意外と重量があり、今までのようには動けません。微妙な動きの調整が行われました。衣裳合わせもありました。右の写真は、太平洋戦争当時の学生服を着た中本吉成と、妹役の田宮華苗。よく似合っていますね。衣裳を着ると、ぐっと作品世界の空気が漂ってきます。今回の作品は、キャスト全員に数回の衣裳着替えがあるため、衣裳には早替わり用の細工がほどこされています。俳優にとって小道具や衣裳は、稽古で充分に慣れておく必要があるもの。開幕を目指して、こまかいチェックを重ねて行きます。
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通し稽古週間です。演出、音楽監督、照明、映像、音響、衣裳、舞台スタッフが勢揃いして見つめるなか、最初の通し稽古に挑むのは、かなりの集中力が必要です。小道具や衣裳替え、転換やワイヤレス・マイク、ある時は照明のことなど、同時にいくつものことに注意を払いながら、演技を行います。一度通すたびに、演出家と音楽監督から、ダメ出しと修正も山のように出ます。次の通しでは、その全てをクリアして演技しなくてはなりません。本当に、ミュージカル俳優って大変な仕事です。でも、そうした苦労を経て、観客の皆様に拍手喝采していただける感動的な舞台が出来上がるのです。全てはいいミュージカルをつくるため。キャスト・スタッフ一丸となった渾身の努力が、本番の日まで続きます。
阿部よしつぐ「自分の身体に流れる当時の若者の血。ウソをつきたくないなあ・・・。」
tekkan「やっと通し稽古までたどりつけました・・・!!(笑)しかし、1回通すだけで相当ぐったりです!!それだけどのシーンも真剣勝負です。それに人数が少ないので、それぞれの重責は半端ありません。でも見応えは十分だと思います。むしろこの人数でよくここまでのスケール感が出るなと、この新作ミュージカルに十分な期待感をもちます。本番まであとわずか!全力でぶつかります!是非、忘れてはならないこの史実を劇場で!!」
麻田キョウヤ「いよいよ本番直前です。通し稽古の中で物語の全貌が見え、どんな色をつけるか・・・。ここからが一番楽しいところ!テーマはシリアスですが、肩の力をぬいて楽しめる作品に仕上がってます!劇場でお会いしましょう!」
中本吉成「本番まであとわずか。とても良い作品になっていると思います。僕たちが創る「わだつみのこえ」。熱い舞台を是非観にいらして下さい!!」
菊地まさはる「この作品が、誰かの活力に!そして「心を豊かにする糧」となりますように!!」
青木結矢「シャワー後の様に汗びっしょりになった稽古の日々でした。重い作品だと思われがちですが息を抜けるシーンもあって、面白く観ることができます。観に来て下さいね。」
高野絹也「とかく主張や思想を押しつけがちな「戦争もの」ですが、ミュージカルになってなお生きる当事者たちの「生の声」から、百人百様の何かを感じとっていただけますように、という思いで舞台に立つつもりです。」
佐野信輔「稽古を重ねるほど、「良いミュージカルになる予感」に嬉しくなります。これは史実です。本当に書かれた言葉たちです。ご期待下さい。」
森 雄基「先輩方に支えられ、励まされて、ついに本番を迎えます。戦争でお亡くなりになられた方々、遺族の方々に恥ずかしくないよう、懸命に演じます。」
丹宗立峰「吐きそうなくらい全ての力を出し尽くす舞台。是非観に来て下さい!!」
浦壁多恵「女性1人ですが、男性6人に負けないよう、1人で6人分のパワーを出して頑張ります!」
田宮華苗「出演者が7人だけとは思えないくらい、密度の濃い作品になっていると思います。今回私は、1公演限りですが精一杯頑張ります。」
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ミュージカル「わだつみのこえ」にご期待下さい!
日本人必読の名著「きけ わだつみのこえ」を、日本で初めてミュージカル化した舞台として、ミュージカル座が自信を持ってお贈りする新作ミュージカル。太平洋戦争の犠牲となった若き学生たちの痛恨の思い、 残された言葉が、感動的な歌となってよみがえり心に響く、素晴らしいミュージカルが誕生しました!私たち日本人が決して忘れてはならない大切な言葉の数々を、どうぞ劇場の客席で受け止めてください。実力キャストによる魂を込めた歌と演技が、あの日の青春を伝えます。
わだつみは海のこと いくさで死んだ学生たち
読んでみよう 今を生きる僕らも
耳を傾けて きけ わだつみのこえ


●ミュージカル「わだつみのこえ」は9月6日(火)・7日(水)博品館劇場で上演いたします。
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